空き家の維持管理は所有者にとって無視できない課題です。
空き家の維持管理の必要性と具体的な方法について十分な知識を持ち合わせていない方も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、空き家の維持管理にかかる具体的なコストと、管理を怠った場合のリスクについて解説します。

 

□空き家の維持費用

空き家の維持にはさまざまな費用が発生します。
具体的な内訳を見ていきましょう。

1:清掃費

空き家でも定期的な清掃が不可欠です。
庭の手入れや落ち葉の掃除、野良猫による被害の対策などが必要です。
会社に委託すると、年間約5万円の費用がかかります。

2:修繕費

空き家は使われなくても劣化します。
特に木造住宅の場合、経年による劣化が顕著であり、年間で約5万円の修繕費を見込む必要があります。

3:固定資産税・都市計画税

固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は0.3%が毎年かかります。
この税金は避けられないため、支払う必要があります。

4:光熱費の固定費

たとえ空き家であっても、電気やガス、水道の基本料金が毎月発生します。
最低でも月3,000円の出費が見込まれます。

5:保険料

火災保険の加入は必須です。
年間3～5万円の保険料が必要となる場合があります。

 

□空き家を放置するリスクとその影響

空き家の管理を怠ると、以下のようなリスクが生じ、それぞれが所有者に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

1:周囲に損害を与えるリスク

老朽化した空き家は壁や屋根の崩壊などの物理的な危険をはらんでいます。
このような状況では通行人が落下物によってケガをする可能性や、隣家に物理的なダメージを与える可能性があります。
これらは単に物理的な損害にとどまらず、損害賠償請求や法的な責任を伴う事態に発展するリスクがあります。
その結果、所有者は予期せぬ金銭的な負担に直面することになります。

2:不審者の侵入リスク

空き家は人目につかないため、不審者が侵入しやすい環境です。
これにより、放火や不法投棄などの犯罪行為のリスクが高まります。
さらに、犯罪集団によって犯罪の拠点として利用されることもあります。
このような事態は周辺住民の安全や環境に悪影響を及ぼすだけでなく、所有者自身の信頼にも傷をつける可能性があります。

3:不動産価格の低下

老朽化が進むと、空き家の不動産価値は大きく下がります。
売却を考えた場合、状態が悪い物件は買い手が見つかりにくく、価格が低く抑えられがちです。
さらに、不動産会社も利益が見込めない物件に対しては、積極的な売却活動を行わない傾向にあります。
その結果、長期間売却できないまま価値がさらに低下するという悪循環に陥るリスクがあります。

4:「特定空家」指定のリスク

空き家が適切な維持管理を受けず、著しい老朽化が進むと、自治体から「特定空家」として指定される可能性があります。
この指定を受けると、通常よりも高い固定資産税が課されることになります。
これは、所有者にとって予想外の追加的な経済的負担を意味し、空き家の管理を適切に行わないことの経済的な代償となります。

これらのリスクを踏まえると、空き家の所有は単に放置するだけではなく、適切な管理と対策が不可欠であることが明らかです。
所有者はこれらのリスクを理解し、空き家の維持管理について適切な計画と実行を行うことが求められます。

 

□まとめ

この記事では、空き家の維持管理にかかる具体的なコストと、管理を怠った場合のリスクについて解説しました。
空き家の維持管理は単なる費用の問題ではなく、潜在的なリスクを回避し、資産価値を維持するためにも重要です。
適切な管理により、これらのリスクを最小限に抑え、安心して空き家を所有し続けられますよ。